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おもかげ復元師の震災絵日記  おくりびと 女性納棺師 笹原留似子 [書籍]




「終わりました」笹原さんが告げると、個人と対面した遺族が「生きていたころの姿にもどった」と

驚きの声をあげる。

髪の毛にからまった藻や砂粒をひとつずつ取り除きシャンプーをする。

傷口を埋め、マッサージで顔の血色を戻し、化粧をする。

笹原さんは、その特殊な技術を生かし、被災地で遺体の復元のボランティアをした。


最初に依頼された17歳の女子高生。

変り果てた姿に、両親も祖父母も、なきがらを直視することも触れることもできなかった。

笹原さんの手で、女の子にかわいい笑顔が戻った。

家族は、少女の頭をなで、話しかけ、最後のお別れをしました。


「17歳。女の子

『守れなくてごめんな』お父さんが泣いた。

『そんなこと、この子は思ってないよ』おばあちゃんが言った。

『おれの孫にうまれてきてくれてありがとうな』おじいちゃんが言った。」



「こんなのお父さんじゃない!」

父親の死を認めない小学生の男の子。

元に戻ったお父さんを見て、

「うわー、お父さんだ。起きて!」


「『お父さんじゃない!』と息子さんが泣いているのを聞いて、

慌てて駆けつけました。

復元後、

息子さんは、お父さんに、沢山話しかけてくれました」



生後10ヶ月の赤ちゃんの復元には3時間以上かかった。

妻と子を亡くして、ショックで声を失っていた父親は、復元後

娘を見て、初めて大声で泣くことができた。


「生後10ヶ月の赤ちゃん・・。

言葉が話せなくなったお父さん。

復元後のあなたを見て、

床に頭をつけて、大きな声で泣いた。


『やっと、泣けたよ・・・。』

そう言って、あなたに触れたね。」



[
あのとき出逢った、ひとりひとりを忘れない──

東日本大震災後、津波被害の激しかった沿岸地域で
300人以上のご遺体をボランティア復元した女性納棺師が描いた絵と言葉。

実際のスケッチブックを、そのまま本にしました。





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